
背中に鉄板。祖母を味を運ぶ。
長い日暮れに、夏のはじまりを感じた。
7月の初旬、宮城県は石巻に行き、石巻のクラフトビールのお店であるISHINOMAKI HOP WORKSを訪れた。
そこで素敵な出会いがあった。
彼の名は川田さん。
川田さんは栃木県足利市で創業60年以上になる
もんじゃ焼き店の川田文字焼屋の2代目店主。
初代のおばあさまが始めたもんじゃ焼きの味を、そのまま背負って
47都道府県を行脚中だ。
各地のクラフトビール店やイベントでもんじゃを振る舞う。
仙台でも、ベロンや女川のガル屋Beerでイベントを開いてきた。
道具はシンプル、味もシンプル。
だからこそビールとも相性抜群で、
気づけば会話が弾んでいる。

土手を作らない、江戸の味をそのままに
川田さんが焼く「もんじゃ焼き」は
いわゆる普通の“もんじゃ焼き”とは少し違う。
江戸時代から食べられてきた素朴なスタイルで、
具材は少なく、土手も作らない。
卵を混ぜ、小麦粉を水で溶いて、
ソースや醤油の香りが鉄板の上でふわりと広がる。
ISHINOMAKI HOP WORKSの巻風IPAと一緒に頬張れば、
卵のやさしさにソースのパンチがのって、
どこか懐かしく、ほっとする。

料理人であり、クリエイティブな人
川田さんの魅力は、
鉄板ひとつで旅をする料理人なだけじゃない。
POP UPイベントのロゴやメニュー、
また空間のインテリアを自分でデザインする。
鉄板を前に料理する姿とは打って変わって、クリエイティブな姿も興味深い。
特にInstagramの世界観は川田さんの色気のあるセンスで溢れている。

声をかけてもらって良かった夜
人見知りの私に、川田さんは
「一口食べてみてくださいよ」と笑ってくれた。
試しに一口、と思ったのに、
次の飲み会が控えていたはずなのに、
気づけば熱々を一人前、平らげていた。
また会いたくなる、あの「味」と「人」
おばあさまの味を広げるために全国を飛び回り、各お店でイベントを開催する川田さん。お客さんと楽しくお話しして、みんなにもんじゃを振る舞う姿はとても印象的。
一方、クリエイターの顔も持つ川田さんはお店のロゴやInstagramで投稿する画像にもこだわり、大人っぽいシックな世界観にギャップを感じている。
2代目として、おばあさまの味を踏襲するも、ご自身のセンスと世界観を通してお店を広げていく。
一つの仕事や固定概念などに捉われず、自分がするべきこと、また自分が得意とすることを掛け合わせ
た、その生き方は令和の時代に則した、まさにかっこいい生き方だ。
石巻のお店で出会えたあのご縁を大事にしていきたい。
「またあの味に会いに行こう」
そう思わせてくれる夜だった。

◾️プロフィール
川田文字焼店
店主 川田直樹さん
Instagram:kawadamojiyakiten



