Re me ― はじまりは、 箱根温泉だった
東京での生活に慣れた頃だった。メディア業界に身を置き、多忙なスケジュールをこなす日々。気づけば、自然に触れることも、自分のために時間を使うことも、すっかり遠ざかっていた。
あれは忘れもしない2023年の冬。
Re meのきっかけがあった。
週末、ふと思い立って箱根温泉へ向かった。小田急ロマンスカーの車窓から、都会のビル群が田園風景へと移り変わる。それだけで、心がスッと軽くなるのを感じた。
旅館に着くと、目の前に広がるのは、湯けむりと静寂。夜は箱根連山に望む星空を見上げ露天風呂に浸かり、夕飯は神奈川地酒の丹沢山を添えて地あじのたたきとおでんを味わう。
“贅沢”とは、こういう時間のことを言うんだと思った。
帰りの電車で、ふと考えた。
― こういう時間を、もっと当たり前に持ちたい。
― 心までゆるむような瞬間を、年に一度ではなく、もっと頻繁に。
― 自分の人生にとって、大切なものって何だろう。
箱根の夜は、そんな問いをそっと差し出してきた。
東京でのギラついた生活は少し疲れた。

東京の暮らしは、正直、楽しかった。
刺激的で、スピード感があって、かっこいい。流行りのカルチャーを追いかけ、洒落たバーで朝まで飲み明かし、大人の青春2.0を楽しんでいた。
また職業柄、芸能人と関わる仕事が多かった。寝る間も惜しんで働く事こそが業界人のプライド。私は下っ端の立場にも関わらず、自分はどこか他の人とは違う、業界人の1人だと勘違いをしていた。
「東京にいる自分は、イケてる」と思っていた。いや、思いたかった。
そう、それもそのはず。この生活は体力的にも、精神的にも、本当の自分には合わなかったのだ。
終電近くで帰宅して、スーパーで買ったお総菜と缶ビールで夕飯を済ませる毎日。
唯一の楽しみな時間は深夜にYoutubeを見ながらお酒を飲む時間と、週末に友人たちとサウナとバーに行く時間。
そのうち、ふとした瞬間に思うようになった。
「なんで、こんなにがんばってるんだっけ」
「自分って、今、幸せなんだろうか」
目の前の“憧れた生活”に埋もれて、大事な何かを置いてきた気がしてならなかった。
しかし、その時は何が大切なのか分からなかった。
「地方は田舎。何もない」という偏見からの脱却
箱根でふるさとを思い出した。
仙台にも、温泉があった。山があり、海があり、食があり、自然があった。でも、学生の頃はその魅力に気づけなかった。
東京を“上”と見て、地元を“何もない”と切り捨てていた。
でも今ならわかる。
仙台には、心を整えてくれる風景と、心に沁みる味がある。
時間の流れ方が違う。呼吸が深くなる。
それって、東京にはない“贅沢”だ。
挑戦者たちが教えてくれた、“資産”の意味
ただ仙台に戻る前に不安なことがあった。
—それは、自分は東京に負けた、通用しなかったというレッテル
地元に帰ってきて、一体何をすればいいのか。どうせすぐ東京に戻りたいと思うのだろう。
ネガティブな想いを抱えながら、地元に帰ってきた。
しかし、地元で生活して気づいたことがある。
街の風景は変わっていないが、人は変わっていた。
クラフトビールやワイナリーの醸造所を始めた人。
サウナ施設を自分たちの手でリノベした若者たち。
地域の魅力を発信するクリエイター。
人生をかけて、リスクを背負ってまで、自分のやりたい事に全力で取り組んでいる。
その熱量に心を打たれた。
一方で、お気に入りの店が、次々に姿を消していた。
人手不足、経営難、跡継ぎがいない。
大げさでなく、“味の記憶”が消えていくのが、悲しかった。
「何もしなければ、守れないんだ」と思った。
“地方は資産” その価値を、今、誰かに届けたい
だから、私はこのブログを始めることにした。
自然も、温泉も、食も、人も、全部が地方の“資産”だ。それを作り、守り、磨き続けている人たちがいる。
そんな彼らの生き方や価値観を伝えたい。
このブログは、地方の“資産”を再発見するメディアであり、誰かがもう一度「新たな自分を再発見」する、きっかけとなる場所にしたい。
Re me ― 新たな自分を再発見


