「登山、行ってみない?」その一言が、人生の景色を変えた
登山? 正直、まったく興味なかった。
週末はいつもの行きつけの立ち飲み屋で、仕事帰りに一杯やるのが定番ルーティンだった。
でもある夜、初めて会う常連たちとの何気ない会話の中で出た一言——
「今度、登山してみない?」
たぶん冗談半分だったんだと思う。
でもその誘いに、ノリと少しの好奇心で乗っかった。
それが、“再発見”のはじまりになるなんて、思いもしなかった。
初めての泉ヶ岳登山。自然が教えてくれたこと
仙台市街から車で約40分。
地元民に親しまれる**泉ヶ岳(いずみがたけ)**は、標高1,172mのやさしい名山だ。
「登山初心者にもぴったり」と聞いて、気軽なハイキング気分で挑んだ。
…が、実際は想像以上にハード。
急な傾斜に息が上がる。太ももはパンパン。でも不思議と気持ちは折れなかった。
変わっていく景色、静かな森の香り、すれ違う登山者の「こんにちは」に、心がじんわりとほどけていく。
山頂の絶景で、忘れていた“感動する力”が戻ってきた
縦走中はずっと息が切れてたけど、空気は次第に澄み、空が近くなる。
そして——山頂。
そこに広がっていたのは、
仙台の街並みと太平洋を一望できる、まるで地球の端に立ったような景色だった。
ただただ、立ち尽くすしかなかった。
社会人になってから、心が震えるような瞬間って正直あまりなかった。
でもこの泉ヶ岳の頂上で、僕ははっきりと感じた。
「自分は、まだちゃんと“感動”できるんだ。」
何かに心を動かされるって、ものすごく尊い。
そのことを、泉ヶ岳が思い出させてくれた。
山頂ラーメンが沁みた理由
そのあとのご褒美は、コンビニで買ったカップラーメン。
いつも食べてるはずの味なのに、寒さと疲労に包まれた身体には、じんわりと沁みた。
美味しさの理由は、スープじゃない。
ここまでの汗と努力、そして“ちゃんとやりきった”という手応えが、すべての調味料だった。

仙台の山に、通いたくなる。その理由は、
この日から、僕は登山の虜になった。
ただの趣味じゃない。登山は、自分自身と向き合う“きっかけだと思う。
一歩ずつ歩くうちに、心が静かになっていく。
Re me——そう、自分を再発見する旅がそこにある。
次は蔵王山。その先には、船形山や栗駒山、宮城・東北の山々が待っている。
もちろん、いつか全国の山にも挑戦したい。
でも、あの初めて登った泉ヶ岳。
ここだけは、いつでも帰ってこれる“原点”として、ずっと大切にしたい。


